親族内承継の手続方法

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親族内承継の手続

親族内承継の方法としては、①相続による承継、②生前贈与による承継、③売買による承継と大きく3つの事業承継の方法があります。
これらの事業承継方法のメリット・デメリットを勘案して、どの承継方法を選択するのがよいのかを判断することになります。

相続による承継

相続による承継は、現経営者の死亡のときに後継者への承継が行われる事業承継の方法です。

相続による承継のメリットは、会社の株式や事業用資産の取得にかかる資金の準備が、生前贈与による承継や売買による承継必要より少ない点にあります。 逆に、デメリットとしては、

  1. 基礎控除額を超えると相続税がかかり、相続財産が多額にのぼり株式や事業用資産が多くを占める場合には、相続税の納税資金の準備が必要となることや、
  2. 遺言者である現経営者は自由に撤回することができるため、生前贈与と比べて後継者の地位が不安定となること
  3. 現経営者が遺言を作成することなく相続になった場合は、後継者が取得できる財産は遺産分割協議次第であり、株式が分散し後継者の地位が不安定となってしまうこと、
  4. たとえ遺言書が作成してあっても、遺言の内容が遺留分を侵害するものであった場合は、遺留分を侵害する部分の効力は否定される結果、後継者の地位が不安定となってしまうこと

などがあります。よって、相続による承継方法を選択する場合には、相続税に関する税務上の対策や経営権の集中に関する法務上の対策を事前に行う必要があります。

生前贈与による承継

生前贈与による承継は、現経営者の生前に後継者に贈与することで後継者へ承継させる事業承継の方法です。

生前贈与による承継のメリットは、

  1. 遺言と異なり現経営者は自由に撤回することができないため、後継者の地位が安定すること
  2. 後継者が現経営者の生前に早くから経営に対して影響力をもつことができること
  3. 相続による承継と同様に、会社の株式や事業用資産の取得にかかる資金の準備が必要ないこと

などが挙げられます。逆に、デメリットとしては、

  1. 相続税と比べて基礎控除額が少なく税負担が重いため、贈与税の納税資金の準備が必要となること
  2. 生前贈与は特別受益となるので遺留分の制約を受けるため、生前贈与が遺留分を侵害するものであった場合は、遺留分を侵害する部分の効力は否定される結果、 後継者の地位が不安定となってしまうこと

などがあります。よって、生前贈与による承継方法を選択する場合にも、贈与税に関する税務上の対策や経営権の集中に関する法務上の対策を事前に行う必要があります。

売買による承継

売買による承継は、現経営者の生前に後継者に売却することで後継者へ承継させる事業承継の方法です。

売買による承継のメリットとしては、後継者が現経営者の生前に早くから経営に対して影響力をもつことができ、また、遺留分の制約を受ける心配がなくなるため後継者の地位が安定する点にあります。

逆に、デメリット(障害)は、後継者が会社の株式や事業用資産の取得にかかる資金の準備が必要である点にあります。しかし、経済的な負担を負うことで、経営者になる苦労を体験し、経営に真剣に取り組むことが期待できるというメリットもあります。
(一般に、後継者は十分な資金を有していないことが多く、従業員等への承継と同様に、資金の調達がポイントになります。)