後継者の能力・適性について

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後継者の能力・適性について

親族内承継においては、事業を承継する子息・子女の後継者としての能力や適性がよく話題に上りますが、 経営者としての能力は、経験から学んでいく後天的な能力であり、現経営者もはじめから経営者としての能力を有していたものでは 決してないものであるから、経営者としての能力は、後継者教育のなかで鍛えていけばよいものと思われます。
しかしながら、インターネットの普及等による産業構造の変化やグローバル化の進展による競争の激化によって、経営環境は大変に厳しいものとなっており、 ただ単に経営者の子息であるというだけで事業を承継し、経営していくことができるほど容易でないのが現状です。

そこで、受身的に事業を仕方なく承継するのではなく、承継した企業を存続・発展させようとする意欲が後継者には必要です。 現代のような変化の激しい時代においては、逆に中小企業にも大きな飛躍のチャンスがあるのもまた事実であり、 従業員や取引先、製品・サービスのノウハウやユーザーといった基盤があるのは創業するよりは有利であるのは間違いなく、 後継者に意欲があれば、この基盤をいかして会社を発展させることも可能です。

後継者の適性

経営者としての適性については、諸説入り乱れていますが、当相談センターとしては、

  • 状況の変化に臨機応変に対応し、ひとつの物事にこだわり過ぎない、負けは負けと認めることができること
  • 自己の感情のコントロールができ、嫌なことがあってもすぐにキレないで対応できること
  • いまの自分があるのは、親や周囲の人たちの応援があって成立しているという感謝の心をもっていること

この3点は後継者に必要不可欠な適性と考えています。
なぜならば、経営者として一旦選択した判断がうまく行かなかった場合に方針の修正や撤退することも経営には必要ですが、 負けを認めることができない人は、この判断をできずに傷口を広げてしまいます。 また、中小企業の場合には、経営者はトップセールスマンであり、管理職でもあるため、取引先や従業員との信頼関係を 構築していくことが必要ですが、キレやすい人・感謝の心を持っていない人はどうしてもこの信頼関係を構築することができないし、 自己の能力を過信して人の話を聞かないで物事を進めて失敗しやすい傾向にあるからです。

この適性がない後継者候補に承継することは難しいですが、それ以外の経営者に必要な能力、すなわち、 重要な経営判断に際して、確からしいと思われる判断を選択する経営判断能力や、 予算管理や原価管理、資金繰り等の会社の数字を把握するのに必要な計数管理能力といったものや、 従業員や取引先から信頼を得ることなどは、後継者本人の意欲と努力で獲得することは十分可能です。